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症例紹介

乳歯と永久歯の交換期の矯正治療について

2017年04月

小児期の矯正治療の開始時期は、乳歯が生え変わる直前の4〜5歳くらいが理想的です。
この時期の矯正治療で改善するのは「食べる」「しゃべる」「呼吸する」という口腔機能です。

上記の機能を正しく使うことで正しく成長発育します。逆に、これらの機能が正しく使えていない子は歯並びや噛み合わせのみならず、全身の健康にも関わってきます。2018年より厚生労働省が「口腔機能発達不全症」という病名を制定しました。

1、食べ方

2、正しい姿勢

3、舌の位置

まず、舌の位置が悪いと顎の成長が正常に行われません。

舌位1のコピー

①主訴:ガタガタした歯並び、②診断名:前歯部の叢生、③初診時年齢8歳、④治療に用いた装置:軟性の機能的矯正装置、⑤非抜歯、⑥治療期間:約2年、⑦治療費:約35万円、⑧リスク・副作用:前歯部の痛み・歯根吸収の可能性・成長により後戻りする可能性があるため、口腔周囲筋を鍛える必要があります

機能的に、舌小帯と呼ばれる舌下のひだが短い場合は、
舌小帯切除術という手術を行うこともあります。
麻酔をする時間を含めて30分ほどで終了する簡単な手術です。

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①主訴:滑舌が悪い、②診断名:舌小帯短縮症、③年齢8歳、④術式:麻酔して外科的切除、⑥治癒期間:約2週間、⑦治療費:保険適用、⑧リスク・副作用:切除後は舌を動かすトレーニングを行わないと、後戻りする可能性があります。この舌小帯を切除しても必ずしも滑舌が良くなるとは限りません。

4、呼吸のしかた

舌の位置と関係がありますが、舌が低位になると呼吸が「口呼吸」になり、
挙上されると「鼻呼吸」になります。
口呼吸していると喉に直接細菌やウィルスが入ってきますが、
鼻で呼吸することでそれらの病原菌も鼻のフェルターもカットしてくれます。
鼻水は1日に1リットル出て来ますが、そのほとんどが保湿に使われます。
また、-25℃の外気でも鼻を通過することで喉に到達する時には25℃まで上がります。
喉が乾燥し、冷やされることで鼻がつまるので、「鼻がつまって口呼吸になっちゃう」
というのではなく、「口で呼吸するから鼻がつまる」のです。
つまり、鼻で呼吸することで風邪やインフルエンザの予防にもなり、顎の正常な成長も促されるのです。

口呼吸 鼻呼吸

また、寝る時には口が開いてしまうので、口にテープをつけることもおすすめです。
専用の医療用テープは目白ヶ丘デンタルクリニック・矯正歯科の受付でも取り扱っています。
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ヨシダ社マウスリープ、写真は今井一彰先生あいうべムックより抜粋

5、口腔周囲筋の強さ

「舌の位置を挙げる」のと「口を閉じて鼻呼吸をする」ためには、舌と唇の筋肉を鍛える必要があります。

方法としては内科医の今井一彰先生考案の「あいうべ体操」やガムを噛むことが簡単です。

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2017年4月に放送された「世界一受けたい授業」でもガムによる顎の成長について放送していました。

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ガムを口の天井(口蓋)に押し付ける訓練

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歯科専売のキシリトールのガムは、市販のものより硬さが2倍で仮歯や入れ歯、
矯正器具につきにくくできています。また、キシリトールガムは毎日噛むことで、
歯にバイオフィルム(プラーク)がつくのを防いでくれる効果もあります。

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(写真はオーラルケア社のカタログより)

顎が小さい場合は、前述の舌の位置・舌と口腔周囲筋のトレーニングを行う必要があります。

あいうべ体操とガムのトレーニングに加え、「トレーナー」と呼ばれるシリコン製の柔らかい
マウスピースを使用し、口を閉じるために必要な筋肉を鍛えます。また、トレーナーは
舌の位置を覚えるための印も付いています。
(トレーナーの写真はオーティカ社カタログより抜粋)

筋機能療法の説明動画です。

【実際の症例】
口腔周囲の筋肉が鍛えられる、口角が上がって自然に口を閉じることができるようになります。

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舌の位置の改善と口腔周囲筋が鍛えられたことで、顎の正常な成長ができました。

この患者さんは固定式の装置を使わずに自身の筋肉で成長させることができましたが、年齢が上がるにつれ、自然な成長のみで歯が並びにくくなります。その場合は歯列弓を拡大する装置を併用する必要があります。

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①主訴:ガタガタした歯並び、②診断名:前歯部の叢生、③初診時年齢6歳、④治療に用いた装置:軟性の機能的矯正装置、⑤非抜歯、⑥治療期間:約2年(写真は2ヶ月目)、⑦治療費:約35万円、⑧リスク・副作用:前歯部の痛み・歯根吸収の可能性・成長により後戻りする可能性があるため、口腔周囲筋を鍛える必要があります

 

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歯並びに関わる顎の成長の旺盛な時期は5〜10歳のため、治療開始時期が後になればなるだけ、顎の成長がしにくくなります。


乳歯列の時点で生え変わる隙間がないと指摘された場合は、早い段階でお気軽にご相談ください。
適切な開始時期をご提案いたします。

一生涯の歯並びをお子さんご自身でつくってもらいましょう!

上記の患者さんの場合
使用した材料:筋機能訓練のためのマウスピース装置
治療期間:約2年半
来院回数:約15回
費用総額:¥400,000前後
治療のリスク:筋機能訓練を行わないでマウスピースを使用すると開咬になる可能性がある、混合歯列の矯正治療だけで就床しない場合は、第二期矯正(永久歯列期の矯正治療)が必要となる場合がある

※文中の写真は患者さんの許可をいただいて掲載しています。

目白駅より徒歩4分
目白ヶ丘デンタルクリニック・矯正歯科(新宿区歯科医師会所属)
http://mejiro-dental.jp/

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